事故~その2~
2014年 01月 18日
事故を起こしてしまい、沈んだ気持ちで帰ってきた私。
家につくと、まずは夫に電話した。
正直、一番言いたくない相手だ。
事の次第を説明すると、一言。
『何やってるんだ!?バカじゃないの。お前。』
ツーツーツー…
電話が切れた。
最悪の気分だった。
船から海に投げ出されて、命綱のロープを目の前で切られたような感じ。
自分の不始末は自分で何とかしろってか…(´・ω・`)
次に保険屋に電話した。
夫の実家のある町の小さな農協が窓口だ。
冷たい夫よりもずっと親身に話を聞いてくれた。
状況を説明すると、やはり、保険をつかうには相手の方が警察に行って事故証明をもらわなければならないこと。
どんな相手かわからないし、連絡先を聞いて、あとは自分たち保険屋さんに任せてほしいこと。
それから、幸いなことに、今回保険を使っても据え置きで保険料は上がらないので、少額でも保険を使った方がいいとのアドバイスを受けた。
そっか…やはり、相手が警察に行って手続きしてくれないと、話が進まないのね。
相手の面倒くさそうな顔が浮かんだ。
申し訳ないな…(´;ω;`)
私が、相手の手間を考えて、保険を使わず3~4万くらいなら自腹切る覚悟をしていると話した。
そう。もうそのときにはそれが一番よい方法に思えてきた。
勉強代だと思おう。
今回は私の責任だし。
そうすると保険屋さんが想像もしていなかったことを話した。
『お宅は停車中で、相手は動いていたんですよね?それ、10:0じゃないんだから、奥さん、そんなに謝らなくてもいいんですよ』と。
えっ…でも、どう考えても私の不注意じゃん…
ところが話を聞くと、駐車場に停める際は、隣の車のドアが開くことも想定していなければならないとかなんとか…。
は、初めて聞いたよ…そんなこと。恥
保険屋さんとの電話を終え、次に実家に電話した。
38歳にもなって、不安で実家に電話するなんて、どんだけ箱入りなんだか…笑
事情を説明すると、まず母はたいそう心配していた。
母は20年くらい前、大きな事故を起こしてしまい、死者は出なかったものの、二人の方にけがを負わせてしまい、ニュースにも取り上げられてしまったことがある。
それがトラウマで、今でも町外までは運転できない。
そして、ペーパードライバーだった私が車を運転していることを心配し、会うたびに事故には気を付けるように言われているのだ。
私の脳裏に、相手がいる事故の大変さは20年たっても焼き付いている。
母のとなりで話を聞いている妹は大変ご立腹だった。
誰にといえば、ふがいない私にたいしてだ。
『お姉ちゃん。すぐに謝ったらダメだよ!!
こっちが100%悪くても先に謝ったらダメ!!
それに、駐車場の事故なんてね、5:5から話をすすめるのが普通なんだよ!!』
『お姉ちゃん、
ぜったいなめられてるって!!
(#`皿´)』
こ、恐い…そして強い。
さすが妹。
若い頃改造車に乗って農道を爆走していただけある。まずもって気合いが違う。
かつて、どこかのお婆さんに車を当てられたときも、『表沙汰にしたら息子に免許証を取り上げられる』と泣いてすがるのに『お婆ちゃん、あんたもう運転無理!!(#`皿´)』とぶちギレたことがあるらしい。
まさに、闘争型女の典型だ。
妹はさらに息巻いていた。
私一人ではらちがあかない、修理代をぼったくられて終わりだ、なので、自分(妹)とジジがそっちに行く、と言う。
片道1時間10分かけて…(´Д`)
ちなみに、ジジも連れていく、と言うのは、こういう場合、男性(しかも中年以上の)を連れていくのが強みになる、との妹の持論だ。
孫にでさえ『ハゲジジ』とバカにされてもヘラヘラしているジジを連れていったところで何の牽制にもならないと思うが、横でヘラヘラ笑うジジは、それはそれで恐いのかもしれない。
それにしても、遠方から身内が心配して駆けつけてけようとするなんて…これは、もう、箱入り…と言うよりは、私のヘタレぶりを黙ってみていられないのだろう。
私にもプライドがあるので、妹たちの申し出は断ることにした。
帰ってきた夫に、私は自分の考えを報告した。
請求された修理代が少額なら自分で払いたいこと。高額なら相手に警察に届けてもらって保険を使って払うこと。
どちらにしても、今回は相手に迷惑をかけたので、住所を聞いて、菓子折をもって謝罪にいきたい…と。
すると夫は言いきった。
『こっちは修理代払うんだろ?なら、菓子折も謝罪も要らない』
え…菓子折いらないの?
一緒に行ってもらって頭を下げようと思っていたのに。
こんなところにも闘争型がいたなんて。
まわりの友達にも、事故の件を話したら、反応は2パターンだった。
私と同じように、とりあえず謝っちゃうな…というタイプ。
それから、状況を冷静に分析して対応するタイプ。
同じタイプの友達からは同情して励ましてもらい、冷静な友達からは、相手との交渉の具体的なアドバイスをもらった。
持つべきものは友達だ。
私もずいぶん落ち着いてきた。
そこに、保険屋さんから状況をききに電話があった。
『相手から連絡があって高額な修理代を請求されても、すぐに払わないで下さいね。』
よほど私が頼りないらしい。
『警察に届けなくても、書類で保険は出せますから。くれぐれも早まらないように』
・・・はい(´;ω;`)
私って情けない。
それにしても、小さな事故で、大変なことになってきた。
私はただ、菓子折もって謝罪し、言われるままの修理代を払って、相手が最小限の手間ですむようにしたいのに。
誠意って、そういうもののはず。
北の国からでもあったではないか。
私の誠意は、どうやって伝えたらいいのだろう。
みんなが、謝るな、交渉しろ、折れるな、と言う。
モヤモヤしたまま、一夜が過ぎた。
そして翌日。
昨日はあまり寝付けなかった。
相手のおじさんが法外な修理代を請求してきたらどうしよう。
怒ってるだろうな…謝りにいきたいな…色々と想像が膨らみ、すでに相手のおじさんは、テレビに出てくるような悪役、極悪人に思えてきた。
そんなとき。
私の携帯電話に、公衆電話から電話がかかってきた。
公衆電話?
不審に思いながら出てみると、昨日の事故の相手。
『今話せますか?』
と、おじさん。
本当は、大きな多目的ホールがあるロビーにいた。人目がたくさんあるので、改めて…とも思ったが、ここで相手を不快にさせてはいけない。
そしておじさんは続けた。
『あのあと、傷を見たらさ、大きな傷ではないし。
傷や凹みがあったからって車が走らない訳じゃないし。
修理代払わなくていいです』
えっ!!(゜ロ゜)
『で、でも少し凹んでましたよね?
修理するとなったら高いんじゃ…』
『うーん。直してもらおうとも思ったんですけどね。
お子さんがやったことですし、責められないです。
今回のことは、もう無しにしましょう。
お互い、災難でしたね、って事で』
なんと、無かったことにしてくれると!?
嬉しい…
でも、すぐにまた申し訳なく思った。
私は人目もはばからず、電話を握りしめながらその場で深々と何度も頭を下げお礼とお詫びを言った。
せめて、直接お詫びを、と思ったのだが、連絡先や住所を言いたがらなかった。
そもそも公衆電話からかけてきた時点で、今回のことは忘れましょう、との意思なのだ。
電話で話終わったあと。
私には何もお返しが出来ないことを悔やんだ。
せめて、あのおじさんに、これから幸せなことが起きますように、と祈るくらい。
今どき、無かったことにしてくれる…なんてファンタジーの世界か、都市伝説だ。
次に同じ事故を起こしてしまったら、こうはいかないだろう。
事故にはくれぐれも気を付けなくては。
そして、私は事故以来初めて煩チビに言った。
『車に乗るとき降りるとき。それから駐車場でも道路でも。よく気を付けようね。ドアはお母さんが開けるからね』
と。
家につくと、まずは夫に電話した。
正直、一番言いたくない相手だ。
事の次第を説明すると、一言。
『何やってるんだ!?バカじゃないの。お前。』
ツーツーツー…
電話が切れた。
最悪の気分だった。
船から海に投げ出されて、命綱のロープを目の前で切られたような感じ。
自分の不始末は自分で何とかしろってか…(´・ω・`)
次に保険屋に電話した。
夫の実家のある町の小さな農協が窓口だ。
冷たい夫よりもずっと親身に話を聞いてくれた。
状況を説明すると、やはり、保険をつかうには相手の方が警察に行って事故証明をもらわなければならないこと。
どんな相手かわからないし、連絡先を聞いて、あとは自分たち保険屋さんに任せてほしいこと。
それから、幸いなことに、今回保険を使っても据え置きで保険料は上がらないので、少額でも保険を使った方がいいとのアドバイスを受けた。
そっか…やはり、相手が警察に行って手続きしてくれないと、話が進まないのね。
相手の面倒くさそうな顔が浮かんだ。
申し訳ないな…(´;ω;`)
私が、相手の手間を考えて、保険を使わず3~4万くらいなら自腹切る覚悟をしていると話した。
そう。もうそのときにはそれが一番よい方法に思えてきた。
勉強代だと思おう。
今回は私の責任だし。
そうすると保険屋さんが想像もしていなかったことを話した。
『お宅は停車中で、相手は動いていたんですよね?それ、10:0じゃないんだから、奥さん、そんなに謝らなくてもいいんですよ』と。
えっ…でも、どう考えても私の不注意じゃん…
ところが話を聞くと、駐車場に停める際は、隣の車のドアが開くことも想定していなければならないとかなんとか…。
は、初めて聞いたよ…そんなこと。恥
保険屋さんとの電話を終え、次に実家に電話した。
38歳にもなって、不安で実家に電話するなんて、どんだけ箱入りなんだか…笑
事情を説明すると、まず母はたいそう心配していた。
母は20年くらい前、大きな事故を起こしてしまい、死者は出なかったものの、二人の方にけがを負わせてしまい、ニュースにも取り上げられてしまったことがある。
それがトラウマで、今でも町外までは運転できない。
そして、ペーパードライバーだった私が車を運転していることを心配し、会うたびに事故には気を付けるように言われているのだ。
私の脳裏に、相手がいる事故の大変さは20年たっても焼き付いている。
母のとなりで話を聞いている妹は大変ご立腹だった。
誰にといえば、ふがいない私にたいしてだ。
『お姉ちゃん。すぐに謝ったらダメだよ!!
こっちが100%悪くても先に謝ったらダメ!!
それに、駐車場の事故なんてね、5:5から話をすすめるのが普通なんだよ!!』
『お姉ちゃん、
ぜったいなめられてるって!!
(#`皿´)』
こ、恐い…そして強い。
さすが妹。
若い頃改造車に乗って農道を爆走していただけある。まずもって気合いが違う。
かつて、どこかのお婆さんに車を当てられたときも、『表沙汰にしたら息子に免許証を取り上げられる』と泣いてすがるのに『お婆ちゃん、あんたもう運転無理!!(#`皿´)』とぶちギレたことがあるらしい。
まさに、闘争型女の典型だ。
妹はさらに息巻いていた。
私一人ではらちがあかない、修理代をぼったくられて終わりだ、なので、自分(妹)とジジがそっちに行く、と言う。
片道1時間10分かけて…(´Д`)
ちなみに、ジジも連れていく、と言うのは、こういう場合、男性(しかも中年以上の)を連れていくのが強みになる、との妹の持論だ。
孫にでさえ『ハゲジジ』とバカにされてもヘラヘラしているジジを連れていったところで何の牽制にもならないと思うが、横でヘラヘラ笑うジジは、それはそれで恐いのかもしれない。
それにしても、遠方から身内が心配して駆けつけてけようとするなんて…これは、もう、箱入り…と言うよりは、私のヘタレぶりを黙ってみていられないのだろう。
私にもプライドがあるので、妹たちの申し出は断ることにした。
帰ってきた夫に、私は自分の考えを報告した。
請求された修理代が少額なら自分で払いたいこと。高額なら相手に警察に届けてもらって保険を使って払うこと。
どちらにしても、今回は相手に迷惑をかけたので、住所を聞いて、菓子折をもって謝罪にいきたい…と。
すると夫は言いきった。
『こっちは修理代払うんだろ?なら、菓子折も謝罪も要らない』
え…菓子折いらないの?
一緒に行ってもらって頭を下げようと思っていたのに。
こんなところにも闘争型がいたなんて。
まわりの友達にも、事故の件を話したら、反応は2パターンだった。
私と同じように、とりあえず謝っちゃうな…というタイプ。
それから、状況を冷静に分析して対応するタイプ。
同じタイプの友達からは同情して励ましてもらい、冷静な友達からは、相手との交渉の具体的なアドバイスをもらった。
持つべきものは友達だ。
私もずいぶん落ち着いてきた。
そこに、保険屋さんから状況をききに電話があった。
『相手から連絡があって高額な修理代を請求されても、すぐに払わないで下さいね。』
よほど私が頼りないらしい。
『警察に届けなくても、書類で保険は出せますから。くれぐれも早まらないように』
・・・はい(´;ω;`)
私って情けない。
それにしても、小さな事故で、大変なことになってきた。
私はただ、菓子折もって謝罪し、言われるままの修理代を払って、相手が最小限の手間ですむようにしたいのに。
誠意って、そういうもののはず。
北の国からでもあったではないか。
私の誠意は、どうやって伝えたらいいのだろう。
みんなが、謝るな、交渉しろ、折れるな、と言う。
モヤモヤしたまま、一夜が過ぎた。
そして翌日。
昨日はあまり寝付けなかった。
相手のおじさんが法外な修理代を請求してきたらどうしよう。
怒ってるだろうな…謝りにいきたいな…色々と想像が膨らみ、すでに相手のおじさんは、テレビに出てくるような悪役、極悪人に思えてきた。
そんなとき。
私の携帯電話に、公衆電話から電話がかかってきた。
公衆電話?
不審に思いながら出てみると、昨日の事故の相手。
『今話せますか?』
と、おじさん。
本当は、大きな多目的ホールがあるロビーにいた。人目がたくさんあるので、改めて…とも思ったが、ここで相手を不快にさせてはいけない。
そしておじさんは続けた。
『あのあと、傷を見たらさ、大きな傷ではないし。
傷や凹みがあったからって車が走らない訳じゃないし。
修理代払わなくていいです』
えっ!!(゜ロ゜)
『で、でも少し凹んでましたよね?
修理するとなったら高いんじゃ…』
『うーん。直してもらおうとも思ったんですけどね。
お子さんがやったことですし、責められないです。
今回のことは、もう無しにしましょう。
お互い、災難でしたね、って事で』
なんと、無かったことにしてくれると!?
嬉しい…
でも、すぐにまた申し訳なく思った。
私は人目もはばからず、電話を握りしめながらその場で深々と何度も頭を下げお礼とお詫びを言った。
せめて、直接お詫びを、と思ったのだが、連絡先や住所を言いたがらなかった。
そもそも公衆電話からかけてきた時点で、今回のことは忘れましょう、との意思なのだ。
電話で話終わったあと。
私には何もお返しが出来ないことを悔やんだ。
せめて、あのおじさんに、これから幸せなことが起きますように、と祈るくらい。
今どき、無かったことにしてくれる…なんてファンタジーの世界か、都市伝説だ。
次に同じ事故を起こしてしまったら、こうはいかないだろう。
事故にはくれぐれも気を付けなくては。
そして、私は事故以来初めて煩チビに言った。
『車に乗るとき降りるとき。それから駐車場でも道路でも。よく気を付けようね。ドアはお母さんが開けるからね』
と。
by bonbonmama
| 2014-01-18 18:38